2015年度エスノメソドロジー分析入門セミナー 開催報告

掲載:2016年03月16日

2016年3月12日、東京大学駒場キャンパスにて、2015年度のエスノメソドロジー分析入門セミナーを開催しました。年度末の忙しい時期にもかかわらず今回も多くの方にご参加いただくことができました。1日という短い時間の中ではありますが、実習を交えて分析の視点や方法を学ぶことで、エスノメソドロジー分析の面白さ、奥深さを多少なりとも感じていただくことができたのではないかと思います。参加者からの質問も活発におこなわれました。

セミナーの詳細は「2015年度エスノメソドロジー分析入門セミナー」をご覧ください。

開催報告

エスノメソドロジーの視点
須永将史講師による「エスノメソドロジーの視点」セミナーでは、社会生活の中で繰り返しおこなわれる活動を「同じ」活動として理解可能にする手続きに注目することの重要性と、そこから導かれる分析の一般的なステップが説明されました。また、有名なエスノメソドロジー研究がどのようにそのステップにしたがって展開されているかが解説されました。 201603em01
フィールドノートの分析
  團康晃講師の「フィールドノートの分析」セミナーでは、フィールドノートをつける際の着目点やフィールドに長く入ることで何が見えてくるかが解説されました。実習では講師が実際につけたフィールドノートの断片を素材に分析をおこなうことで、ひとつの活動について「他のやりかたもありえたのになぜこの仕方でその活動はおこなわれたのか」と問いを立てることの重要性が示されました。 201603em02
テクストの分析
河村賢講師の「テクストの分析」セミナーでは、まずテクストを活動として理解することの必要性が説かれ、その後にテクストをそう理解させる手続きの一例として「成員カテゴリー化装置」が取り上げられました。実習ではインターネット上で話題になった差別的なテクストについて、その差別性・中傷性がどう生じているのかを分析することで、人によって解釈がわかれるようなテクストを分析する際に考えるべき点や注意点などが考察されました。 201603em03