→短信:報告と写真を掲載しました [2016/02/17]
概要
2014年3月21日金曜日(祝日)に東海大学高輪キャンパスにて、emca研春の例会を開催します。多くのみなさまのご参加をお待ちしております。
大会担当世話人:前田泰樹、黒嶋智美(最終更新: 2014年2月25日)
日時 | 2014年3月21日(祝金)10:00-17:00 |
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場所 | 東海大学高輪キャンパス 4101教室 [キャンパスマップ |
大会参加費 | 無料(会員・非会員とも) |
事前参加申込 | 不要 |
9:30 | 受付開始 | |
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10:00-12:30 | 第一部:自由報告 | |
10:00-10:30 | 須永将史(首都大学東京) 「痛み」に関する質問について [→要旨] |
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10:30-11:00 | 長谷川紫穂(埼玉大学)・胡思楊・福島三穂子・山崎敬一 言語構造によるレスポンスの違い:日英比較クイズロボット実験から [→要旨] |
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11:00-11:30 | 佐藤信吾(埼玉大学)遠隔的共同作業における相互理解の実践 [→要旨] | |
11:30-12:00 | 谷川千佳子(神戸市看護大学) 外来看護師長による作業(ワーク)の組織化 [→要旨] |
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12:00-12:30 | 團康晃(東京大学) このクラスは変われる:二つの生徒指導を通した「クラス」の方向性の提示を事例に [→要旨] |
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12:30-14:00 | 昼食 | |
14:00-17:00 | 第二部:書評セッション 『共感の技法』(勁草書房) | |
14:00-14:05 | 主旨説明:司会 小宮友根(明治学院大学) | |
14:05-14:45 | 書評1(40分):評者 樫村志郎(神戸大学) | |
14:45-15:25 | 書評2(40分):評者 串田秀也(大阪教育大学) | |
15:25-15:40 | 休憩(15分) | |
15:40-16:30 | 著者リプライ&討論(50分):西阪仰・早野薫・須永将史・岩田夏帆・黒嶋智美 | |
16:30-17:00 | 全体討論(30分) | |
17:00 | 閉会 |
報告要旨
(1)「痛み」に関する質問について 須永将史(首都大学東京)
本発表では、在宅医療マッサージにおける相互行為を対象とする。在宅医療マッサージでは、施術者と患者が会話しながらマッサージによる施術が進行する。施術者と患者は施術のなかで、さまざまなことがらを会話のトピックとしてあつかう。患者の病状・体調について話をおこなうこともあれば、施術の前日に患者がどのような一日を送っていたかなど、トピックは多岐に渡る。さまざまなトピックが展開するなか、本発表が注目するのは、とりわけ患者の「痛み」について施術者が質問するそのやり方である。「痛み」に関する質問は、患者の身体に触れながらなされることもあれば、患者の身体に触れずになされることもある。問題は、痛みに関する質問が施術者からなされるとき、どのような相互行為的環境にありながらその質問がなされているのか、である。本発表では、痛みが問われるそのやり方を、質問のデザインという観点からあきらかにする。
(2)言語構造によるレスポンスの違い:日英比較クイズロボット実験から 長谷川紫穂(埼玉大学)・胡思楊・福島三穂子・山崎敬一
本研究は、教室場面やミュージアムガイドなど多人数に対する説明や解説を想定したクイズロボットを用いた、人間とロボットのコミュニケーション研究の一環であるが、日本語と英語という異なる言語での実験と分析を通して、質問と返答という会話構造における日英の相違点を分析するとともに、クイズロボットとのコミュニケーション設計において言語差を考慮する上での一助となる知見を明らかにすることを目的とする。実験では、立ち位置が静止した状態で、ある画像を使って解説を行なう場面を設定し、被験者と対面したクイズロボットが問題を出題するが、この際、各問題には被験者の知識変化を目的としたキーワードが組み込まれる。実験結果より、日本語話者/英語話者のどちらへの実験でも、キーワード箇所による被験者反応と知識変化が起こることが観察された。しかしながらそこでは、言語的構造の違いから、キーワードの位置が大きくずれることとなり、そのことが被験者反応に違いを生じさせている。本発表では、日本語話者と英語話者の比較実験から、クイズロボットの問題出題におけるキーワード位置と被験者反応について、その関係性について分析を行なう。
(3)遠隔的共同作業における相互理解の実践 佐藤信吾(埼玉大学)
本発表では、遠隔的な共同作業において相互理解がどのように実践されているのか、外出困難な高齢者の買い物を遠隔操作型アバターロボットで支援した実験の事例を通して報告する。外出困難な高齢者は、他者と関わる機会が少なく、また日常活動であるはずの買い物でさえも満足に行うことは難しい。筆者らは、そうした高齢者にアバターロボットを介してケアワーカーや店舗の店員らと共同作業というかたちで買い物ができるよう支援した。本来、カメラの映像越しでの遠隔的な共同作業においては、「見える」という言葉に「映像が見える」という意味と「映像の中に映っている物が見える」という意味の二つの意味が生じるため、どちらの意味でその発話が用いられているのか発話者によって一つ一つ明示されなければ伝わりきらないという問題や、ロボットのいる側からロボット操作者側を視覚的に見られない状況ではロボットのいる側の参与者にはロボット操作者らが「指示対象物を本当に見えているのか」ということが、完全には理解できないという問題が生じる。こうした互いの行為にかかわる理解の問題をどのようにふるまい合うことで解決できているのか、実験によって明らかになったことを報告する。
(4)外来看護師長による作業(ワーク)の組織化 谷川千佳子(神戸市看護大学)
外来看護師長がその職務を、どのように作業の組織化をして遂行しているかについて報告したい。分析には小規模病院外来看護部門の看護師・看護師長を対象に行ったフィールドワークからのデータを使用する。調査では看護師長に終日シャドーイングおよびインタビューを行い、フィールドノートを作成した(録音は許可されていない)。師長が当該施設で担っている職務のうち、患者へのトラブル対応および、通常の外来診療とは異なる対応を要した診察を実現するために、いかに情報を集約し、時間・空間、人材をアレンジしたかについて述べたい。
(5)このクラスは変われる:二つの生徒指導を通した「クラス」の方向性の提示を事例に 團康晃(東京大学)
学校の中、教師は生徒に対し授業をはじめとする学習指導や進路指導を日々行っている。一方、生徒の日常生活についての指導として「生徒指導」と公的に呼ばれる活動も行っている。本報告では、フィールドワークの中で記録した教師達の「生徒指導」の具体事例をとりあげ、教師の指導のデザインに着目し、活動の構造を明らかにすることである。教師は授業における逸脱行為に対する指導のようにその場限りの指導を行う一方、あるトラブルに対し異なる教師が複数回指導を行う場合があった。その事例として、生徒間で生じた「からかい」に関する生徒指導の事例をとりあげる。授業内に生徒間で「からかい」が繰り返しなされていた時、授業担当の教師は「からかい」を行う生徒に対し直接の指導を行った。その後、担任の教師は直接の指導を受けて、帰りのショートホームルームで講話、つまり異なる指導を行っている。この二つの「生徒指導」は、後者の指導が前者の指導に連続したものとして組織される中で、トラブルの帰属先が特定の「生徒」から、「クラス」へと変え、直接的なトラブルの指導からトラブルをなくしうる「クラス」であることの確認へと指導の内容を変えることで、同一トラブルに対する一連なりの「生徒指導」として理解可能なものとなっていた。
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